奔馬
唐 青島博物館

唐代(紀元618~907年)に有名な唐三彩は、主として明器として作製されたもので、赤・青・黄・緑など華麗な色彩を誇り人気も高い。
本例は、色彩は施されていないが、疾駆する汗血馬の動作を見事に捉えている。数多くの唐三彩を見てきたが、白釉のみの上海博物館の汗血馬など、三彩でないものに芸術的に秀れたものが多いように感ずる。その精緻極まる描写は、殷時代の青銅器、下っては春秋戦国時代の陶俑の影響を感じさせる。

Photo & Text by 吉村 信(福井市)