銅馬 東晋(紀元265~420年)

中国では古来、騎馬民族と農耕民族である漢民族との攻防そのものが歴史であったと言っても過言ではない。それ故、重要な兵器であった馬への思い入れは中国では殊の外深く、戦乱の時代ほど良い作品が多い。
本例は東晋(紀元265~420年)、日本に正史の存在しなかった時代の銅製の馬で、写実性・装飾性両面から見て、歴代の馬の作品の中でも出色の傑作である。陝西歴史博物館を訪れるたびに再会を楽しみにしている作品の一つである。どの方向から見ても申し分なく、今にも走り出しそうな迫力がある。

Photo & Text by 吉村 信(福井市)