木馬 西漢(紀元前202~後8年)
甘粛省博物館

甘粛省、武威市の漢墓から出土した馬高82cm、胴長72cmの汗血馬で、黒色に塗られた馬は足を踏ん張り、耳を直立させ、雲気紋の描かれた鞍を置かれている。同館の至宝「馬踏飛燕」に見られる、戦場の殺気を感じて嘶(いなな)いているといった精悍さはおよそ無く、「命令されたから、なんとなく立っています」といった感じのユーモラス、あるいはやる気の無さの表情が面白く楽しめる。今を去る2000年前の冥器俑である。

Photo & Text by 吉村 信(福井市)