飛天

シルクロードの一部、河西回廊の西端、敦煌にある中国三大石窟の一つ、莫高窟のメインテーマ「飛天」の現代彫刻である。莫高窟敷地内の中庭の楡の木陰に艶然と琵琶を背後で掻き鳴らしつつ佇んでいる。西域のソグド地方から伝わったといわれる舞踊、安禄山が玄宗の前で舞ったという記録もある胡旋舞をイメージしての作品と思われるが、作製されて数十年も経つと、すっかり風景に馴染み、古代文化を鑑賞しに訪れた人々にもすんなりと受け入れられている。

Photo & Text by 吉村 信(福井市)