蟠螭(パンチー)紋銅鼎
戦国時代(BC475~221年)

青銅製の蟠螭(とぐろを巻いた角の無い竜)紋様で、銅鼎の周囲を装飾した食器である。鼎足には鬼面獣の顔が精工に刻まれているが、殷時代の、陽刻中心の超絶技巧を凝らした青銅器の迫力には遠く及ばない。絶対奴隷制度の崩壊に伴う心のゆとり(たるみ?)のもたらした成果として人類学的には喜ぶべきものなのであろうが、美術愛好家としては物足りなさを感ずる一品である。

Photo & Text by 吉村 信(福井市)